プレスリリースの作成に、これまで3時間かかっていた作業がAIの活用でわずか数十分に短縮できる——そんな事例が広報の現場で増えています。日本国内の広報部門におけるAI導入率はすでに37.2%に達し、掲載率が15%向上したという報告もあります。「うちの会社もAIを使ってみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」という広報担当者の方に向けて、AI活用の具体的な方法と注意点をまとめました。
なぜ今、広報にAI活用が求められているのか
検索エンジンではAI Overviews(AIによる要約表示)が一般化し、ユーザーが検索結果画面だけで疑問を解決してしまう「ゼロクリック検索」が増加しています。従来の「プレスリリースを配信してメディアに拾ってもらう」だけの戦略では、情報が埋もれやすくなっているのが実情です。
こうした環境変化の中で、AIを使って作成スピードと質の両方を底上げする動きが広がっています。
プレスリリース作成にAIを使う3つのメリット
世界のPR企業では4社に1社以上がすでにプレスリリース作成にAIを導入しているといわれます。日本でも徐々に浸透しつつあるこの流れは、単なる効率化のブームではなく、広報業務の標準的な進め方として定着していく段階に入ったと考えられます。ここでは代表的な3つのメリットを見ていきます。
1. 作成時間の大幅な短縮
企業情報やニュース要素をAIに入力し、下書きを自動生成させることで、制作時間を50〜70%短縮できるという報告があります。ゼロから文章を組み立てる負担が減り、広報担当者は内容の精査や戦略設計に時間を割けるようになります。
2. 表現のブレを抑えた文章づくり
AIは過去の配信実績や型を踏まえた構成を提案してくれるため、「何を書けばいいか分からない」という初動の迷いを減らせます。特に広報担当者が少ない中小企業では、属人化しがちな文章作成を標準化する助けになります。
3. メディア掲載率の向上
タイトルや見出しの付け方をAIに評価・採点させることで、メディアに取り上げられやすい構成に近づけられます。掲載率が向上した事例も報告されており、配信後の反応を見ながら改善を重ねる運用と相性がよい手法です。
導入する際に気をつけたいポイント
便利さの一方で、AI活用には広報ならではの注意点もあります。導入前に以下の4点を社内ルールとして共有しておくと、トラブルを未然に防げます。
- 事実確認は必ず人が行う:AIが生成した数値や固有名詞に誤りがないか、配信前に必ず確認する
- 企業のトーンを保つ:AIの下書きをそのまま使わず、自社らしい言い回しに調整する
- 機密情報の入力を避ける:未公開の経営情報や個人情報はAIツールに入力しない
- 最終判断は広報責任者が行う:特に危機対応時は、AIに任せきりにせず人が意思決定する
AIはあくまで「下書きを速く作る」ためのツールであり、メディアとの信頼関係構築や最終的な情報発信の判断は、これまでどおり広報担当者自身が担う領域です。
まとめ:AIは広報の「相棒」として使うのが正解
AI活用の目的は、広報担当者の仕事を奪うことではなく、時間のかかる作業を巻き取り、担当者がより戦略的な業務に集中できる環境をつくることです。まずは社内向けの簡単なプレスリリースなど、リスクの低いところからAI活用を試してみるのがおすすめです。小さな成功体験を積み重ねながら、自社に合った運用ルールを少しずつ整えていくことが、長期的な広報力の底上げにつながります。
広報ジャーナリスト協会では、AI時代の広報戦略やプレスリリース作成のノウハウについて、会員向けにセミナーや個別相談を実施しています。自社の広報体制を見直したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。